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僕と阿弖流為の出会い |
僕とアテルイとの出会い、あれは2004年の1月、まだ雪残る陸奥での出来事だった…。 この前の年の暮れから年明けにかけて無性に北の風が俺を呼ぶのさ。 ただどうして呼ばれるのかわからなかった。 始めは山形、秋田を通り青森まで行ってみたが何も感じなかった。 当時の日記を見るとここで一旦新潟に戻っている。 しかし年が変わり2004年の1月中旬にまた旅立つ。 山形、秋田から今度は右へ曲がり岩手へ。 田沢湖辺りからなんかこううずうずしだした、近い!みたいな。 盛岡につくと今度は南へ行きたがる。 北上から一ノ関までの車中落ち着かない事。 ここに何かあると確信するが、なぜか立ち止まりたくない気分。 もう暗くなって来たから仙台まで行けば泊まるところあるだろうと仙台で降りようとしても身体が動かない。 どうしちゃったのか?と思ったら、名取りと言う駅名を聞いたら身体が条件反射的に降りてしまった。 まさに扉の向こう側に飛び込む感じ。 しかし参った。 ここに泊まるところあるの? 駅にある電話帳を調べると健康ランドが一件ある。 ここなら遅くても泊れるだろうと行く事に。 これが結構遠かった、そのうえ道が凍ってて滑るし、えらい寒かった覚えがある。 何よりなぜ名取と言うそれまで聞いた事のない町で宿をとる気になったのか? それこそが我が運命(さだめ)の始まりであった。 大浴場に入ったら夜中のせいか人はまばら。 誰もいない露天風呂で雲の狭間から見える星を眺める。 その時だった! 突然青光りがし、雷の音が轟いた。 それと同時にちらちらと天空から雪が舞い散り始めた。 「さぁみぃ〜なぁ〜」と湯から出ようとした瞬間身体が固まった。 両足を投げ出したまま腰を下ろした状態で両手は湯の縁に広げポカンと上を向いたまま固まった。 顔面に雪混じりの冷たい風が当たる。 「なんだこれ?」 あっけにとられていると空から声が聞こえた。 (俺の魂を伝えてくれ…俺の志を…) そう聞こえた。 何だかわからないままイメージが伝わってきた。 そして風は止み、また雲の狭間から星が光った。 一つのメロディを残して。 そのメロディがアテルイと言う曲の最初に出て来るアテルイのテーマです。 不思議な体験だった。 次の日新潟へ戻り伝わったイメージをもとにネットで検索活動を始めた。 東北、英雄とか。 そして高橋克彦著の火怨という本を見つけた。 早速読んでみるとその話は7世紀の陸奥の英雄、阿弖流為(アテルイ)とその仲間達の朝廷軍との戦いの話だった。 アテルイ。 お前だったのか…、俺に伝えてきたのは。 それまで阿弖流為だのエミシだのと言う言葉は聞いた事が無かった。 調べていくと名取と言う所は当時、今で言う国境だったらしい。 エミシとヤマトの。 それから数カ月かけて伝わったイメージ、メロディでいくつかの曲が出来た。 その音源を手にもう一度東北へ向かう。 9月のことだ。 日記にはこう書いてある。 9月5日、秋田にて龍の魂受け取る。 さて?それがなんだったかは思い出せないが、多分何か期する事があったのだろう。 秋田で龍の魂を受け取った後、俺は仙台へ向かった。 仙台の港から名古屋へ向かう船が出ている。アテルイは捕まり、同志モレと共に京都まで送られた。そのルートをたどろうと思った。そしてアテルイが処刑されたとされる場所(大阪の枚方市)まで行きたい、と。 丸一日の航海。日中、俺は誰も居ない船の屋上?にあがり大の字に寝そべった。 青い空が悠々と過ぎ去って行く。 そして涙が止まらなくなった。 涙と共に言葉が次々と溢れて来る。 俺はそれを書き記しながら、永遠と泣いていた。 この空はどこに続くのか/目に写る雲は流れても/空はきっと果てしなく続いているのだろう/人は人、それが個性/私欲は翼をもたない/俺達はただ心のままを言葉にする/側に、側にいるから、ずっと/愛する、人守りたいから 色々本を読んでいくと日本は色々な民族が集まって出来たところだとわかる。 いろんな顔があるじゃない? ガイジンみたいな彫の深い顔もあれば東南アジアっぽい顔や韓国や中国系の顔や。 きっと自分のDNAの中にエミシの血があるのではないかと思う。 アテルイの時代も今も基本的な人間の愚かさと言うのは変わらない。 良さもね。 中央集権の世の中で地方は差をつけられて生きている。 僕は新潟から世界へと言うスローガンを掲げているが、そういう姿勢を見てアテルイは僕を選んだのではないかと思う。 そしてそんな僕の元に集まったクリナイのメンバー達も必然なのです。 俺とアテルイが唱える事はいつの時代でも不変のテーマ。 この作品を通じて多くの人がアテルイやエミシについて考えてくれたら幸せです。 注: この作品全般、人の名前に漢字を使わないようにしているのは当時は漢字を使ってないのではないかと言う事と、僕が思うエミシは北方から来た人達。 ヨーロッパからシルクロードを通りアジアで混血して海を渡り東北に住み着いた。 で身体も大きく力が強い。 アテルイやモレ、イサシコなんてローマ字の方が似合う呼び名だと思うのです。 そのあたりはそれこそ自分の心に聞いてみなければいけない事でしょうが。 |